靴・ブーツ


写真:皮革製のスニーカーの丸洗い。専用ブラシを駆使して、内側や細かな部位の汚れを落とす

皮革製、合成皮革製、キャンバス地、エナメル素材など、ひと口に靴・ブーツといっても、さまざまな素材のものがあります。

また、パンプス・ハイヒール・サンダル・ストラップシューズ・フラットシューズといった女性向けのおしゃれ靴から、紳士用革靴、作業用靴、スポーツシューズ、登山靴、ロングブーツ(ムートン素材や皮革製)、ショートブーツやブーティなど、実にいろいろな種類の靴が存在します。

それらの靴・ブーツのクリーニングとリペア(補修)ができる店も、宅配サービス型の店からターミナル駅の近くに実店舗を構える店まで、全国各地に、本当に沢山存在しています。

大事にしている靴・ブーツが汚れてしまった/キズがついてしまったので、プロによる本格的なケアをしてもらいたい。
そんなときは、いったいどのような店を選んで依頼するべきなのでしょうか?

実は、靴のクリーニングとリペアを受け付ける店は国内に多くあっても、本当によいメンテナンスを提供している店はごく一握りである、と言えます。
靴・ブーツのメンテナンス優良店の提供するクリーニングとリペアは、具体的にはこのようなものです。

靴・ブーツのメンテナンス優良店のケア
洗剤・溶剤を使って、靴・ブーツをしっかりと丸洗いする
表面の汚れを拭き取るだけ・内側は洗わない、というクリーニングではなく、(丸洗いに耐えられない状態の靴を除く)すべての靴を、内側も外側もしっかりと洗い上げる
ラグジュアリーブランド・高級ブランドの靴もクリーニングとリペアができる
技術力に自信があれば、超高級ブランド品の靴であっても最高のメンテナンスが施せる
クリーニング後、お客さまの希望に応じてリカラーや各種修理を施す
リカラー技術によるキズや汚れのリペア、カビ取り、つま先の補強、かかとのゴム交換、オールソール交換、ヒールの修理など、高度な技術が必要な修理をお客さまの希望に応じて惜しみなく提供している

優良店は、洗剤・溶剤を使って、靴・ブーツをしっかりと丸洗いする


写真:優良店による、ムートンブーツの丸洗い処理。

人体の足と足の裏はとくに汗腺が多いため、1日靴を履いて過ごすと、コップ一杯もの量の汗をかくといわれています。(※コップ一杯の水分=約200cc)

1日ずっと履いていた靴やブーツのニオイが気になるのは、人体から出る汗が蒸れ、靴の内側に染み込み、雑菌が繁殖しているためです。

ニオイが発生している不潔な靴やブーツをそのまま履き続けては、たんに気持ちが悪いだけでなく、水虫などの皮膚疾患を招くこともあります。

もちろん衣類のように、履くたびにきれいに洗えれば一番良いですが、頻繁に洗うと靴がいたんで型くずれを引き起こしてしまう上に、手間がかかりすぎるので、そのようなことはとても不可能でしょう。

一部の靴・ブーツのクリーニング店は、外側だけをサッと水で洗浄するか、クレンジングウォーターのようなもので外側表面の拭き取り処理をするのみで、クリーニングは終了してしまいます。
そう、靴クリーニングの店はよく選ばなければ、せっかくクリーニングに出しても、雑菌の繁殖する不潔な靴のインソール部分・内側の足を入れる部分までキレイに洗浄してはもらえない、という大きな落とし穴があるのです。

写真:靴クリーニングの優良店では、靴の内部の洗浄はもちろん、靴の裏に付着した砂や細かなゴミも、ピンセットを駆使して丁寧に取り除く。

靴クリーニングの優良店では、丸洗いに適さない素材の靴・丸洗いに耐えない状態の靴を除くすべての靴を、しっかりと丸洗いしています。
路面から靴の外側についてしまう黒ずんだ汚れや、チリ・ホコリ、飲み物などのシミ・汚れ、靴の裏に付着した細かなゴミや砂も、ブラシやピンセットを駆使してすべてキレイに洗い落とすようクリーニング処理を施します。

レザーの靴は皮革専用の洗浄剤を使って外側も内側も洗い、最後は皮革を保湿する溶液に靴を浸して仕上げます。
また、スポーツシューズやスニーカーなどは内側と外側を洗い、靴ひもも外してブラッシングし、全ての部位をさっぱりと洗い上げます。

ヒールの高いパンプスやストラップシューズなどの繊細な構造のおしゃれ靴も、柔らかなブラシやスポンジを使って、優しく水洗いを施します。


写真:優良クリーニング店は、高温処理を行って短時間で一気に乾かすことは避け、手間暇を惜しむことなく自然乾燥させる

洗浄が終わったら、高温の乾燥処理は避け、じっくりと手間暇をかけて靴・ブーツを自然乾燥させます。
靴を短時間の高温乾燥処理で乾かしてしまうと、靴の素材に劣化が起こり、サイズが変わってしまうほど縮んでしまうことがあるからです。

靴にとって最も優しい処理、洗って乾かすことで靴を劣化させないクリーニングを施せること。
靴の優良クリーニング店と認められるためには、これがはじめに満たさなければならない条件です。

在籍している技術者の技能が高ければ、ラグジュアリーブランドの靴もメンテナンスできる


写真:優良店の工房。“トリーバーチ”“シャネル”など、水洗い洗浄処理後のハイブランドのシューズが並べられ、リカラーや修理作業を待っている。

プラダ、シャネル、エルメスなど、超一流のラグジュアリーブランドの靴は、クリーニングと修理・リペアにも、それなりの手間暇がかかるものです。

なぜかというと、量産品と比べて素材が上質で繊細なものが多いので、取り扱いには専門的な知識が必要になることもあるからです。

また、クリーニングのほかリカラー作業や修理も、ブランドロゴや金具パーツに影響を及ぼさないように丁寧に施していく必要があります。

その上、2色の革が使われたバイカラーのシューズや、華やかな色に染められた皮革が使われたシューズなど、ラグジュアリーブランドの靴は非常に凝ったデザインであることも多いのです。
凝ったデザインの靴は、シンプルなデザインの靴よりも、取り扱いの難易度が高いと言えます。(※華やかな色の皮革は色落ちしやすい。縫い合わせてあるパーツの多い凝ったデザインの靴は、縫い目などの細かな部位に汚れが付きやすい。)

クリーニングとリペア・修理ともに、ラグジュアリーブランドの靴・ブーツのメンテナンスを多く受け付ける店は、実際に作業を行う技術者のスキルも、ハイレベルな技能が求められます。
従って、技術者の技能が高くなければ、超一流ブランドの靴のメンテナンスを多く引き受けることは、店にとってハイリスクであると言えるのです。
万が一、ケアに失敗してしまったら、量産品よりかなり高価なブランド靴の弁償を背負わなければなりません。

本当に優秀な技術者がいる店は、多くの一流品の靴を引き受けることができる店でもあるのです。

靴クリーニング後、お客さまの希望に応じてリカラーや各種修理を施して仕上げる


写真:優良店による皮革製の靴のリカラー処理。キズや汚れを職人が丁寧に補修する。

それぞれの靴の素材に適した方法で、靴の内側も外側も洗い上げ、すべての部位がしっかりと乾燥したら、次はリペアの工程です。
靴メンテナンスの優良店は、破損している・いたんでいる部位の修理として、靴やブーツのかかとのゴムのパーツ交換・ヒールの修理・オールソールの交換など、実に多様な修理メニューを惜しむことなく提供しています。

修理メニューが多いか少ないか、という点については、経験豊富な修理技術者がその店にいるかどうか、というひとつの目安にもなります。
さまざまな靴のトラブルの修理依頼に一点一点確実に対応していくためには、靴の素材や靴の構造に対する深い知識と高度なスキルを備えた技術者の存在が不可欠だからです。

写真:皮革製スニーカーをリカラーで補修。熟練の職人がじっくりと目で見て確かめ、作業の出来栄えの確認を行う。

靴のメンテナンス技術のなかでも、とくに用いられることが多いのが「リカラー」です。リカラーは、靴についてしまったキズ、汚れをリペアすることができる技術です。
靴の素材やその素材の染め方に合わせ、染料もしくは顔料を使い分け、キズや汚れの上から色を塗ってお客さまの気になる部分を補修していく、という方法です。

靴表面のたいていのトラブルに対し有効な手段なので、靴に細かなキズがある・クリーニングしても落ちない黒ずみ、シミがあるという場合も、メンテナンス優良店にリカラーを依頼すれば、キレイに仕上がります。

色を塗り付けていくリカラー作業の前に、まずは職人が、お客さまの靴の色合いにぴったりの染料・顔料を調合して作り出します。
靴の表面の色とまったく同じ色の染料・顔料がなければ、キズや汚れを違和感なく、自然に補修して仕上げることはできません。

染料もしくは顔料の色の調合は、豊富な経験なしには成功しない難しい職人技ですが、技術者が少しずつ色を混ぜ合わせて、ぴったりと合う色味を作り出します。

色の調合を済ませると、ようやく塗りつけていく作業に入ります。
スポンジ・細筆・エアブラシなど、靴の部位ごとに最も適した道具を使い分けて、キズや汚れ・退色・黒ずみ・シミの箇所に、調合した染料もしくは顔料を塗りつけていきます。

写真:優良店のリカラー作業。ステッチ・縫い目部分には極細筆を使って、丁寧にリカラーを施す。
靴のキズやシミがキレイに隠せても、色を塗り付けることで、その部位がのっぺりとした質感に仕上がってしまっては意味がありません。
優良店のリカラーは、まるでコーティングしたようにつるりとキズやシミを補修するのではなく、靴の皮革の質感を損なうことがないように気配りしながら仕上げていきます。

スポンジや細筆を使い分けていく必要があるのはそのためです。キズやシミの部位にも、道具の力を借りて濃淡をつけながら、違和感なく素材の質感になじむようにリペアします。

靴のクリーニングも修理も、靴の種類が1種類ではないように、さまざまな方法があります。
そのさまざまな技術のなかから、お預かりしている靴にとって最も良い方法を選び出して、丁寧にメンテナンスを施していく必要があります。

全国各地の駅の近くや、インターネット上にメンテナンス店を構える職人や技術者が、どれだけ靴の知識を備えているか、靴のメンテナンス技能が高いかどうかは、そのお店に依頼してみなければ実際にはわかりません。

それでもクリケアは、大切にしている愛用の靴ほど、注意深くお店を選びに選んでから、メンテナンスをオーダーして欲しい、と思っています。

本当に靴のことをよく考え、靴のために最善のメンテナンスを施したい、というこだわりや信念をもって、メンテナンスに従事している職人がいる店。
日々メンテナンス技術を磨くため工房で経験を積み、研修や勉強会に参加して学び続ける技術者がいる店。

クリケアは、そんな優良店に注目を集めることで、靴や洋服のメンテナンスがさらに世の中に普及し、ものを大切に永く使う文化が社会に根付いていくように願っています。