宗教関連衣類(法衣・袈裟・神事服・巫女装束・袴・祭服・キャソックなど)


写真:優良クリーニング店による宗教関連衣類のアイロン仕上げ。

日本古来の宗教である仏教・神道、またキリスト教、イスラム教、ユダヤ教、そのほか歴史の浅い宗教など、日本には、さまざまな宗教施設(教会やお寺や礼拝堂)が存在します。

そしてそれら宗教施設の聖職者の方の衣類は、祭事用の服や聖職者専用の平服もあり、時と場合によって使い分けています。

それらの衣類は、一般的なクリーニング店には受け付けることのできない、特殊な性質を持つものもあります。

仏教の和尚様の着用する袈裟や、神道の神主様の浄衣などは、着物・和服の専門的なクリーニング技術がなければ、よいクリーニングはできません。

また、キリスト教カトリックの神父様の祭服・キャソック、キリスト教プロテスタントの牧師様のガウン・サープレスなどは、一般的な衣類とは異なる形状をしています。
また、特別な典礼(儀式)のときのための服も、とても特殊なものです。
聖職者の方は、袖や襟元をデリケートな金糸・銀糸で縁取りした衣服や、模様のある織物で作られている衣服などを着用します。

写真:キリスト教カトリックの聖職者の衣服。

このように、さまざまな種類がある宗教関連の衣類は、質の良いクリーニングができる優良店に依頼するべきです。

宗教関連衣類は、一般的な衣類に比べると材質も形も特殊なので、技術あるクリーニングのプロにとっても、取り扱いの難易度は高い、と言えます。

そして裏を返せば、クリーニング技術に自信のないようなお店には、決して依頼してはいけません。
その店が取り扱いに慣れていなければ、クリーニングに失敗することもあり得るでしょう。

それでは、優良店による宗教関連衣類のクリーニングとは、どのような作業なのでしょうか?

優良店が行っている、宗教関連衣類の「良いクリーニング」とは?
宗教関連衣類は、素材や形によって的確なクリーニング方法を判断する
仏教・神道の聖職者用の衣類は、着物・和服のクリーニングと同じように、ドライクリーニングをすることが多い。また、場合によっては水洗いも使い分ける。
また、キリスト教やそのほかの聖職者用の衣類は、素材や形などを検品でじっくりと確認し、クリーニング職人が適切なクリーニング方法を考える。
マシンによる水洗いやつけ置き洗い・手洗い、ドライクリーニングなど、最もその衣服に合う方法をクリーニング職人が編み出し、丁寧に作業する。
宗教関連衣類の汚れやシミは、高い技術がなければ落とせない
絹の宗教関連衣類(神道の浄衣など)のシミや汚れには、前処理洗浄として、ドライクリーニング溶剤に界面活性剤(洗浄剤)を足した液を使ってブラッシングする。このように、特殊な宗教関連衣類の素材を傷めることなく、素材に合う前処理の方法で、シミ抜きや汚れ落としをすることが大切。
そのためには、職人の高い技術力がもとめられる。

優良クリーニング店の職人は、宗教関連衣類の素材・形状に合わせて一番良い方法を判断して洗う


写真:神道、神主さんの着用する衣服。

優良クリーニング店は、絹(シルク)でできている「法衣」(※仏教のお寺のお坊さんの衣服)や「浄衣」(※神道の神主さんの衣服)には、本洗浄処理の洗い方として、多くの場合で「ドライクリーニング」を選びます。

ドライクリーニングのメリットは、まず絹やウール素材など、水にさらすといたみやすい素材の衣服でも、ダメージなく洗えるということです。

ドライクリーニングであれば、そのような素材のものでも、まず縮んでしまうこともありません。

そしてもう一つのメリットは、「油っぽい汚れ」の汚れ落とし効果に優れているということです。
ドライクリーニングは石油系溶剤を使ってマシンで洗浄する方法です。つまり、油性の汚れには、油性のドライクリーニング溶剤で洗うことが有効なのです。

しかしこれは、汗汚れや水溶性の汚れがひどくついていない絹の「法衣」「浄衣」である場合です。
ドライクリーニングは、汗・飲み物の汚れなど、「水溶性の汚れ」には洗浄効果が弱いのです。

優良クリーニング店は、汗汚れや水溶性の汚れがひどくついている法衣・浄衣の場合は、ドライクリーニングではない洗浄法を検討します。

水溶性の汚れには水洗いが最も有効なので、シルク用の優しい中性洗剤を使って短時間水につけ置きしたり、シルクもダメージなく洗える「マイクロバブルウォッシュ方式」のマシンを使用して洗うなど、汚れのつき具合によって、同じシルクの宗教関連衣類だとしても、何種類もの洗い方から使い分けるのです。

写真:優良店の法衣のアイロンがけ。手作業で法衣のヒダを整えている様子。

仏教の袈裟や法衣、神道の浄衣や袴は、和服や着物をベースとして作られている衣服です。

その生地も、木綿や絹など、和服と同じような種類の素材であることが多いのです。

従って、仏教や神道の宗教関連衣類は、着物や和服のクリーニング方法を参考にして洗い方を選ぶことができます。

しかしそのほかの宗教(キリスト教やイスラム教やユダヤ教、新興宗教)の衣類では、クリーニング職人が取り扱いに悩んでしまう衣服もあります。

聖職者用の、細かな金糸・銀糸で袖などを縁取っている衣類、複雑な模様が織られた織物でできた衣服や、刺繍がされた衣服などは、それぞれ慎重に洗い方を考える必要があります。

写真:キリスト教聖職者の典礼用の服。

その衣類の汚れのつき方、生地の状態、素材の種類(綿・ポリエステル・レーヨン・ポリウレタン・ウールなど)、また衣服のかたちなど、いくつかの観点からじっくりと検討して、クリーニング方法を使い分けるのです。

キリスト教・イスラム教・ユダヤ教・そのほかの宗教など、それぞれたくさんの種類の宗教関連衣類があるので、「この洗い方が絶対に正解です!このクリーニング方法で洗えば、間違いありません!」という、クリーニングの教科書に載っているような方法は存在しません。
それだけに、実際に作業にあたるクリーニング工場スタッフ・クリーニング職人・クリーニング師たちの技量が試されることになります。

洗い方の判断をあやまると、刺繍や金糸の縁取りがほつれてきてしまう・生地が縮んでしまう・いたんでしまう…といった失敗に直結します。

優良クリーニング店とは、いったいどんな店かと言うと、経験豊富なクリーニング職人が、コストパフォーマンスや効率は度外視して、丁寧にじっくり手間暇をかけてクリーニングしてくれる店のことなのです。

たとえその宗教・その宗派の衣類を扱ったことがなかったとしても、優良店のクリーニング職人の高い技術があれば、知識と経験を総動員して、ひとつひとつの処理作業を工夫しながら、キレイに仕上げることも可能である、と言えます。

宗教関連衣類の汚れやシミは、高い技術がなければ落とせない


写真:優良店によるシルクの法衣クリーニング。前処理でシミの部分にブラッシング洗いを行う。

宗教的な行事の際は、会食があることもあります。
その際は、典礼用の衣類を着たまま、聖職者の方が食事をします。

必然的に、飲み物のシミや食べ物のシミが衣服についてしまうトラブルも起こるので、クリーニングではシミ抜きや汚れ落とし処理も必要になります。

やはりシミ抜きが難しいのは、シルク素材の宗教関連衣類です。
綿やポリエステルやレーヨンは、シルクに比べれば、シミ抜きや汚れ落としはまだ容易です。

写真:シルク素材のイメージ。

シルクは、短時間のつけ置き・手洗い洗浄や、マイクロバブルウォッシュ方式洗浄など、ダメージを防ぐ工夫を凝らさなければ、「水で洗う」という洗い方はハイリスクである、と言えます。

普通の洗濯機をガラガラと回して水を使って洗って、脱水までしっかりすると、すぐさまギュッと縮んだ状態になってしまい、元に戻すことはできないのです。

これは、「シミ抜き」「汚れ落とし処理」にも同じことが言えます。

通常、クリーニングでは本格的に衣服全体を洗う前に、「前処理」をします。

シミがある、汚れのひどいところがある、油っぽい汚れのせいで変色している、というところは、全体を洗う前にあらかじめ、ブラシを使って汚れを落としておく、シミ抜き剤を使ってシミを抜いておく、という処理が必要です。
クリーニングでは、これを、本洗浄の前に行う処理=「前処理」と呼びます。

綿やポリエステルの素材なら、前処理の方法にもいくつか選択肢があります。

シミや黄ばみの部分に、洗剤の原液を塗布してブラッシング、または漂白剤/シミ抜き剤を塗布してブラッシングし、水でしっかり洗い流す、といった前処理方法を選べるのです。

しかしシルクは、ダメージを防ぐ工夫をしない限りは、水にさらすことで縮み、いたんでしまう素材です。
前述の通り、「水洗い」は「ドライクリーニング」よりも水溶性のシミ・汚れ落とし効果も高いのですが、残念ながら水を絶対に使うことができないようなシルクの衣服もあります。

また、シルクはきわめてデリケートなため、漂白剤のような劇薬や、シミ抜き剤も使えません。

そんなシルク素材の宗教関連衣類に、シミ・汚れ・黄ばみがある場合には、優良クリーニング店は前処理として、どのような処理をするのでしょうか。

水にさらしてブラッシングすることもできず、漂白剤も使えないので、基本的にはシミ抜き・汚れ落としの前処理も「ドライクリーニング」を応用した方法で汚れを落とすことになります。

ドライクリーニングとは、石油系溶剤をクリーニングマシンに入れ、シルクやウールの衣類を洗っていく方法です。

言ってみれば、水を使う代わりに専用の溶剤を使って洗う方法なのです。
その石油系の溶剤は、サラダ油のようなベタベタとした粘度の高いものではなく、ガソリンのようなイメージの、サラッとした粘度の低いオイルです。

さて、シミや汚れが付いている、シルク製のお坊様の法衣や神主様の浄衣、牧師様のストール(ストラ)には、この「ドライクリーニング用の溶剤」を使って、前処理を行います。

まずはドライクリーニング溶剤に、界面活性剤を多めに混ぜて溶液を作り、シミの箇所になじませます。
(※界面活性剤とは、洗浄作用のある代表的な洗浄成分。石鹸や洗剤類は、ほとんどのものが界面活性剤の分類に入る)

写真:優良店の法衣クリーニング。ドライクリーニング溶剤と界面活性剤を混ぜた液でシミを落とす。

そして専用の小さなブラシで優しくこすり、シミや汚れを浮かし出します。
シルクにも適したドライクリーニング溶剤と界面活性剤を使っているとはいえ、丁寧に作業し、シルクの生地表面に異変が起きていないか、注意深く確認しながら処理を行います。

この前処理で、シルクの宗教関連衣類のシミ・黄ばみ・汚れ部分をきれいにすることができたら、本洗浄処理に入ります。

全体の汚れをキレイにするため、ドライクリーニングマシンに入れ、しっかりと洗い上げていきます。

すべての洗浄処理を終えたらきちんと乾燥させて、丁寧に形を整えます。

宗教関連衣類に限らず、洗うことの難しい衣類、取り扱いが難しい洋服・和服のクリーニングでは、服の状態をしっかり見ながら、その場その場で的確な判断をして洗って仕上げていくことが求められます。
よい処理ができるかどうかは、クリーニング職人の持てる知識・経験・技術にかかっているのです。

ヨレヨレの服を着ていると貧しい心持ちになるのと同じで、よいクリーニングで形よく整えられた美しい衣服には、着た人にとっても、背筋がしっかり伸びるようなパワーがあります。

クリケアは、宗教関連の衣類も、「きちんとしたクリーニングを提供したい」という真心あるお店、「さらにキレイに、もっと良い仕上がりにしたい」と努力するお店を選んで、依頼していただきたいと考えています。