鞄・バッグ


写真:優良店のバッグメンテナンスの作業。

お気に入りの高品質の鞄、有名ブランドの愛用のバッグに、きちんとメンテナンスを施して丁寧に使っていると、10年、20年と、驚くほど長持ちすることがあります。

これは、元々造りが良い一流品バッグに、こまめなクリーニングとリペアをすることで、寿命をうまく伸ばすことができているケースです。

汚れがひどくなってきた、キズが目立ってきたな…と感じたら、早めにプロによるメンテナンスを手配するほうが良いでしょう。

バッグに付着した汚れはもちろん、バッグのキズや破損もそのままにして使い続ければ、時間をおけばおくほど、状態が悪化してしまいます。

「この先も使い続けたい」と思う一流品のバッグには特に、優良店による徹底的なクリーニングと、修理職人が手掛ける高精度のリペアをこまめに、しっかりと施しておきたいものです。

街の駅前などにバッグクリーニングとバッグ修理を受け付けているお店は多数ありますが、それらのお店は、大切な愛用のバッグに、本当に高い技術力でしっかりメンテナンスをしてくれるのでしょうか?

現実としては、同じ名前を掲げているチェーン店のお店ふたつを比べても、バッグのメンテナンス技術は店によって差があります。
そのときにバッグを担当する技術者の持っている知識と経験、技術の良し悪しによって、クリーニングと修理の出来栄えもかなり違うのです。

良いバッグクリーニング、技術の高いバッグ修理とは、どのようなものでしょうか?

優良店によるバッグのクリーニングと修理の特長
経験豊富な職人やバッグ製造技術者が、クリーニングと修理を手掛けている
よいクリーニング・よい修理ができる優良店は、経験豊富で知識豊富な職人や、専門的なバッグ製造の技能を持つ技術者がバッグを手掛けている。
内側も外側もキレイにするため様々なバッグクリーニング法を揃えている
優良店は、皮革・合成皮革・ヌメ革・エナメルレザー・キャンバス地・ビニール素材など、多種多様な素材のバッグに対応できるさまざまなクリーニング法を用意している。また、外側はもちろん内側(裏地)が汚れている場合にも、漂白やシミ抜きなどのクリーニング方法を用意している。
革のキズやシミもキレイにリペアできる「リカラー」の技術がすぐれている
「リカラー」は、皮革のキズやシミを目立たないように修復する技術。リカラー技術が良ければ、革の質感を損なわないようにキレイにリペアすることができる。
エナメル再加工などのきわめて高度な修理メニューもある
バッグ修理にも難易度の低い修理と、難易度の高い技術がある。
優良店は、大きな破損や難易度の高い修理も手掛けることができる。

バッグメンテナンスの優良店は、経験豊富な職人やバッグ製造技術者がクリーニングと修理を手掛ける


写真:優良メンテナンス店による“ゴヤール”のトートバッグのクリーニング。

バッグは、気に入って使えば使うほど、さまざまなトラブルが起こってしまうものです。

汚れやシミがついてしまった、表面に大きなキズがついてしまった、持ち手がボロボロになってしまった、バッグのカドがこすれて色が剥げてしまった、金属の金具のメッキがくすんでしまった、しばらく保管していたらカビが発生してしまった…など、バッグには数限りなく、さまざまなトラブルが起こり得ます。

バッグはその素材によって、「起こりやすいトラブル」が異なります。

例えば、スムースレザーのバッグにはキズがつきやすく、また、ついたキズが目立ちやすいものです。

エナメル素材のバッグなら、黒ずみや黄ばみが起こりすく、カドの部分がキズついてエナメルが剥げてくることがあります。
また、エナメル素材は真夏の高温多湿環境下で保管し続けると、エナメル素材が溶けるトラブルが起きて、表面がベタベタした状態になってしまうこともあります。

それから、キャンバス地もしくは皮革のバッグを、梅雨時に風通しの悪いところにしまっておいた結果、バッグにひどくカビがはえてしまった…というトラブルも起こることがあります。

写真:優良メンテナンス店によるクリーニング例。赤カビの発生してしまった“ルイ・ヴィトン”のキャンバス地トートバッグ。

バッグのクリーニングと修理を手掛けるメンテナンス店の職人は、そんなトラブルにひとつひとつ確実に処理を施し、お客さまのためにキレイにバッグを仕上げていくのが仕事です。

技術が確かで、良心的で誠実な優良メンテナンス店には、当然ながらよい職人がいるものです。

やはり工房で作業をする職人は、クリーニング経験と修理経験が豊富であればあるほど、さまざまなトラブルを目にしていて、たくわえた知識も豊富です。

そして、クリーニングと修理の技術そのものも、長くメンテナンスを手掛けてきた職人ほど良いものです。

また、一部の優良メンテナンス店は、「バッグ製造」の専門的な技能をもっている職人が、クリーニングや修理を手掛けています。
バッグ商品の製造に携わった経歴を持ち、バッグをゼロから作り上げていく技能がある職人のことを「バッグ製造技術者」といいます。
バッグ製造技術者は、バッグの材料である皮革の知識、バッグの構造や製法(縫製や接着の方法)についても、詳しい知識を持っています。

皮革の性質と取り扱い方を心得ているので、シミや汚れをキレイに除去するクリーニング技術もきわめて高いと言えます。

写真:優良メンテナンス店のバッグクリーニング。バッグ内部の汚れに洗浄剤を吹き付けて、汚れを落とす。

そしてバッグ修理では、とくにバッグ製造技術者のもつ技能が光ります。

バッグに穴が開いてしまった、など、大きく壊れている部分がある、バッグの持ち手が千切れて作りなおす必要がある、といった場合、リカラーや補修(リペア)のみの知識しか持たない技術者では、施すことができる修理技術が限られるケースもあります。

しかしそんな場合にも、バッグ製造技術者は、きちんとした対処ができる可能性があります。

バッグ製造技術者なら、牛革を専用ミシンで縫い合わせて、千切れた持ち手を作り直して、本体につなげる、といった高度な修理もできるのです。

優良メンテナンス店のバッグ修理では、バッグ製品をゼロから製造していたスキルを発揮して、バッグ製造技術者の手で見事に高級バッグが修理された、という例も多数あります。

優良店は内側も外側もキレイにするため様々なクリーニング方法を揃えている


写真:ヌメ革製のバッグ“エルメス ボリード ブガッティ”。液体がかかってしまったらしく、シミとして定着している。

「バッグの素材によって起こりやすいトラブルが違う」ということは前述しましたが、実は、そのトラブルに対するクリーニング方法も、それぞれまったく違う方法なのです。

たとえば、バッグの表面にカビが発生している皮革製バッグとキャンバス地バッグがひとつずつあるとします。

同じようにカビのついたバッグですが、プロのバッグクリーニングでは、素材によって、異なる方法でクリーニングします。

皮革製バッグには、皮革用のクレンジングウォーターを布やスポンジに含ませてふき取り、カビを少しずつ除去していく処理をします。
(※カビの変色を落としきれない部分は、クリーニング後に「リカラー処理」も加える)

それに対して、すべてキャンバス地でできているバッグなら、ひどくカビが付いている部分に、漂白剤を馴染ませてブラッシングする“漂白処理”をしてカビを落とす、という方法を採用します。

同じカビのトラブルでも、このように、素材によって対処法に違いがあるのです。

また、バッグの素材だけではなくて、カビがひどくついているか、軽度のカビか、白いカビか、赤いカビか、というように、「落としたい汚れ」のつき方によっても、バッグクリーニングの方法は使い分けるのが理想的です。

バッグの優良メンテナンス店では、素材によって、汚れのつき方によって、何種類ものクリーニング法を用意しています。

クレンジングウォーターで付着したシミや汚れを落とす、漂白処理をしてカビやシミの着色を除去する、スポンジに水を含ませて軽く拭き取って泥汚れなどを落とす、乾いたブラシでブラッシングして縫い目などについたホコリを落とす…など、素材の種類と汚れの状態に合わせて、一番よい方法をきちんと選んで実行していくことが、良いバッグクリーニングの条件のひとつです。

そしてバッグの汚れはバッグ外側の表面だけでなく、裏地の部分・バッグ内側の部分にもつきます。


写真:優良店のバッグメンテナンス。バッグ内部に付着したコーヒーのシミを、漂白剤で落とし、リカラー技術で補修する。

鞄・バッグの中に入れていた飲み物がこぼれてシミになってしまったり、バッグの中でリップスティックやアイシャドウなどの化粧品のふたが外れて中を汚してしまったり…。

通常の使用を続けているだけでも、バッグの裏地・バッグの内側部分は、だんだん汚れっぽくなって、黒ずんできます。

優良メンテナンス店は、もちろんバッグ内部のクリーニングも手掛けています。

バッグ内側の布部分についた油性/水性のシミには、シミ抜き剤や石けん溶液を少量塗布して汚れを浮かし出してから、何度も拭き取って汚れを取り去るクリーニングを行います。


写真:“ゴヤール”トートバッグ内部についてしまったコーヒーのシミ。

また、コーヒーのような色の濃いシミがバッグ内側についている場合には、漂白剤を塗布してしばらく時間を置き、丁寧にぬぐい取ってシミを少しずつ抜いていきます。

その後は、コーヒーの色が除去しきれなかった部分のみ、シミを目立たなくする染料処理をして仕上げます。

優良メンテナンス店が、バッグの内側も外側もキレイにクリーニングできるのは、多種多様なトラブルに対し、それぞれ最も有効なクリーニング方法を知っているからです。

やはりどうしても、メンテナンスを手掛ける職人が数種類の方法しか知らない、メンテナンスを手掛けた経験がとても少ない、ということでは、良いバッグクリーニングができるとは言えないものです。

優良店はバッグのキズ・シミもキレイにできる「リカラー技術」が優れている


写真:優良メンテナンス店による“コーチ”のバッグのリカラー処理。

バッグ修理・バッグリペアの作業現場で、欠かすことのできない重要な技術があります。
それは「リカラー」と呼ばれる技術です。

(※リカラー技術は、メンテナンス店によって同様の技術でも、名称が違うことがあります。色補正・色掛け・キズ補修、といった名称で呼ばれていることもあります)

リカラーは、皮革製、キャンバス地・布製などの素材のバッグに応用することができるテクニックです。
バッグにクリーニングでは落としきれないシミがある、細かなキズなど補修したいところがある、というときに用いられます。

皮革製のバッグの汚れやシミ・革のひび割れや水濡れあとの補修、黒ずみの補修、ひっかき傷やこすれによる摩耗の補修など、皮革のバッグに起こるさまざまなトラブルは、リカラーでリペアすることができます。

また、キャンバス地バッグの色褪せ、シミ・汚れなども、リカラー技術でキレイに補修できます。

優良メンテナンス店だけではなく、一般的なリペア技術を備えた多くのメンテナンス店で、「リカラー技術」は取り扱いがあります。
しかし、やはり優良メンテナンス店のリカラーは、技術力が圧倒的に違う、と言っても過言ではないのです。

優良店では、このようにリカラーを行っています。
まずはメンテナンス技術者の手で、バッグの色と同じ色合いの染料(もしくは顔料)を作ります。

工房には、はじめから何色もの色の染料と顔料のボトルが、作業デスクの上に揃えられています。

しかしハイブランドのお洒落なバッグには、ピンクやパープル、薄いグリーンや蛍光色など、さまざまな色のバッグが存在します。

そのバッグそのものの色といえるほどピッタリの絶妙な色は、既製品の染料または既製品の顔料には、存在しないことが多いのです。

写真:優良メンテナンス店のリカラー作業場。染料・顔料のボトルが何色も揃っている。

そのため、腕のいいメンテナンス職人は既製の色の染料(または顔料)を2~3色混ぜ合わせて調合して、お客さまから預かったバッグの色とピタリと合う色を作り出してから、リカラーに使うのです。

絵を描くときに絵の具を調合したことがある人ならわかると思いますが、思い通りの色味の染料/顔料を自分で調合して作り出すというのは、なかなかに難しい職人技です。

リカラーは、簡単に言えばキズやシミを、上から色を塗って隠す技術です。
バッグそのものの色と少しでも違う色の染料/顔料では、うまくキズやシミが隠れずに、違和感のある仕上がりになってしまうのです。

色の調合を済ませたら、優良メンテナンス店の技術者は、その色を使ってバッグのキズやシミを丁寧にリペアします。

面相筆のような極細筆に調合した染料/顔料をつけ、キズに少しずつ塗っていきます。

写真:優良メンテナンス店のバッグのリカラー作業の様子。

色を塗り付けたい部分によっては各種の道具を使い分けます。スプレー状に色を塗りつけることができるエアブラシ、平筆などを駆使して補修します。
細かいキズもキレイに隠す精度の高いリペアができるかどうかは、バッグメンテナンスを手掛ける技術者の実力にかかっています。

リカラーはバッグのキズやシミを補修する技術ですが、技術が未熟な職人が手掛けると、補修した部分だけのっぺりとした質感になってしまう、または、コーティングしたようにツルッとした感じになってしまうこともあります。

そんな仕上がりでは、バッグの表面を見た時になんとなく違和感があるものです。

バッグの素材の質感を殺さないリカラーを施すためには、高度な技術が必要です。

皮革がのっぺりとした質感にならないよう、ほどよく柔らかく、ほかの部分と同じように使い込んだ表情も残しながら加減し、キズやシミはしっかりと隠す。

技術の良いお店のリカラー技術は、とても素晴らしい仕上がりで、依頼したお客さまがその出来栄えにびっくりされることもあるほどです。

写真:優良メンテナンス店によるリカラーの仕上がり。

優良店はエナメル再加工など高度な修理メニューもある


写真:優良メンテナンス店によるエナメルバッグのクリーニング・修理。エナメル再加工の技術で補修している。

エナメルレザーは、とてもトラブルが多く発生しやすい素材です。

エナメルは表面がコーティングされているので、一見汚れがつきにくいように見えます。しかし、エナメルコーティングの表面には、実は目には見えないミクロ単位の細かな穴が、無数に開いています。
その穴から汚れがいったん入り込むと、拭き取って落とそうとしても、今度はコーティングが邪魔をして汚れを落とすことが出来ないのです。

これは、クリーニングでも同じことが言えます。上から拭き取って汚れを落とすことはできません。

そのような場合は、優良店によるバッグメンテナンスでは「エナメル再加工」を行います。

エナメル再加工とは、エナメルレザーをコーティングしているエナメルを一度除去し、中の汚れを落とす・染料などで着色して汚れを補修するなどして、再度コーティングする技術です。

汚れだけではなく、エナメルバッグのカドがこすれて破れた、という場合にも、レザーの補修をしてエナメルでコーティングし直すエナメル再加工が有効な手段となります。

この「エナメル再加工」という技術は、国内でも屈指の優良メンテナンス店しか取り扱いがありません。

やはり修理の技術にも、比較的難易度の低い技術と、難易度の高い技術があるのです。
エナメル再加工は、メンテナンス店の職人にとっても高度な技術が必要な、難しい修理技術だと言えます。

優良店は、バッグをクリーニングし、キズや壊れたところを直す、というだけに終わらない、誠実できめ細かなメンテナンスを目指す店も多いものです。

難しい技術を駆使して細かな部分までしっかりと手を入れ、汚れを落としてキレイにリペアして仕上げるのは、この先も持ち主の方に永く愛用してもらいたい、という技術者の強い思いがあるからです。

クリケアは、そんな優良メンテナンス店のことを、広く世の中に知ってもらいたい、と考えています。